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訪問ナースの道~在宅復帰支援から在宅の現場へ – 病院ナースとしての退院支援の経験や、訪問看護ステーション開設のドタバタチャレンジの過程などつづっていきます。

再出発が本当の出発かも知れません

6月にスタッフが突然退職した後、いろんな方たちの助けを得てステーション運営を継続してきました。スタッフの確保のため求人活動も行いました。同時に少しずつ利用者さんの依頼もいただいていたので、本来の訪問看護へも黙々と取り組んできました。

求人サイトを使わせてもらい、8月~9月はご応募いただいた方の面接もしてきました。面接っていうより、「うちのステーションに来て~」っていうアピールのほうが強かった気がします。紹介会社の担当者さんからは「選ぶ立場なんですよ」と言われましたが、どう考えても求職者さんに選んでもらう立場。かといって粉飾しても仕方ないので、素直にありのままに…。要は「勉強する時間はあります、慣れるまでしっかり同行します(=まだまだ暇な事業所)」「これから一緒に盛り上げてくれる人(=営業もありますよ)」。

紹介会社さんへも、「経験があって即戦力になる方もいいけれど、やりがいを求める方というよりは一からゆっくり学びたいという方のほうがいいと思います」と伝えました。たとえば看護師になったばかりで大きな病院の忙しさになじめず早々にリタイヤした人、ゆっくり看護に向き合う時間が取れることで看護師自身のリハビリにもなるような状況、そういう人でもいいと思いました。大事なのは「看護が好きな人」「訪問看護に興味関心がある人」、それがある人なら若くても経験が浅くてもいいと思って面接をしてきました。

面接って、自分がされている気分です。自分の看護観とかステーションの方向性とか将来性とか。それらをきちんと伝えて賛同というか共感していただける方に来てもらいたい。もちろん最初から100%馬が合う方を求めているわけではありませんが、入職してから話と違う、イメージと違うと思われるとお互いが不幸ですから。

その結果がどうなったかというと…嬉しいことに10月から二人のスタッフを迎えることができました。期待していた以上に看護への思いが近い、そして相性の良い、信頼しておつきあいしていけそうな二人です。二人のスタッフの人柄や頑張り、三人での奮闘記などはこれからお伝えしていきます。楽しいことがたくさん起きそうな予感です。

ステーションの未来をともに考えともに実践していく仲間を得られた今が、本当の出発のように思えます。

スタッフの退職とスタッフの獲得~番外編:感謝の巻

前回の投稿「後編:推進力を得たの巻」では、救世主に文字通り救われて前に進むチカラを得たという内容でした。

でも、力になってくれたのはその救世主だけではありません。

起ち上げるときに、スターティングメンバーだったPさん。Pさんは今は住む場所も職場も離れているけれど、困ったときにはオンラインで助けてくれます。彼女は今、新しい職場を仲間と一緒に作り上げている真っ最中で、それは彼女の念願の職場で、お互い励ましあえる仲間としてこれからも頼りにさせていただきたい。

以前から友人付き合いしてくれる看護師仲間のMさん。病院勤務しているのに、人員が足りないという私の訴えに応えてくれる人。休みの日とか、夜勤前の半日とかを使って勤務してくれています。何よりもMさんは、バディ(だと思っていた人)が突然辞めたときから、ずっとそばにいてくれました。「私の言い方がきつかったから辞めたのかなあ」というと「え?いまさら?(私が)きついのは前からなのに?」とっズバッと申したりもする。それなりに落ち込んでいましたが、すべてを知っている人が見捨てずにそばにいてくれるというのは、計り知れない勇気につながりました。孤独だったら、落ち込んだままでそのままやめていたかも知れません。

同じ区内で訪問看護をしている、T事業所のメンバーも励ましてくれて、そして協力もしてくれました。そのメンバーは、前職場のもと同僚さんたち。時々事務所に遊びに来てくれて、わからないことも教えてくれる頼もしい存在。

バディ(だと思っていた人)が突然辞めた翌日、思わず「〇〇さんが夜逃げした…」とメールしたら、その日の昼にみんなで事務所に来てくれて、話を聞いてくれて、励ましてくれて。バディ(だと思っていた人)も前職で同僚だったので、みんな知っている仲間内なので、愚痴も含めて本音を話しやすい関係。話すことで頭の整理も気持ちの整理もしやすくなる。

そして、突然人員が欠けたのだから事務所が継続できないかも…という悩みにも「利用者さんもあなたも、うちが引き受けるから困ったらいつでも来て!」と言ってもらえました。涙が出るほどうれしかったです。利用者さんも私のことも引き受けてもらえたら、事務所は変わっても訪問継続できるので利用者さんにも紹介してくれたケアマネさんにもそれほど迷惑はかけないし、私も収入を得ることができる。その間に求人活動もして事務所を再開することもできる。そう思ったら本当に心強かったのです。

結局は救世主が現れて、今に至ります。こうやって続けていられるのも、支えてくれた皆さんのおかげと感謝の気持ちです…ベタですが。

スタッフの退職とスタッフの獲得~後編:推進力を得たの巻

バディと思っていたスタッフの突然の退職で事務所の危機が訪れ、仲間に愚痴を聞いてもらいつつ今後どうするかを考えました。前職の病院で人事を担当していた方に相談して求人サイトを使うことにしたり、知り合いに連絡をしまくって誰か働いてくれないか探しまくったりしました。一方で、まだ二人の利用者さんの依頼をいただいたばかりなので傷は浅い、利用者さんを他にお願いして休業し仕切り直しをすることも考えました。心の中では、どうせケアマネさんにも認知されていないし、どこにも相手にされていないみたいだし、このまま事務所を閉めても大したダメージはないんじゃないか…という気持ちもありました。紹介してくださった方やパートで働いてくれる方にも、正直に頭を下げることが責任ではないか?とも思いました。

旧知の知り合いや昔の同僚にまで連絡を取り相談しましたが、なかなか都合よく働ける方はいません。都合よく時間が空いていて、都合よく働ける環境にいて、都合よくこの事務所に通えて、訪問看護やってもいいよという方を探すのは無理かな…と思ったときに、ふとある知人を思いだいました。

とあるコミュニティで数か月前に初めてお会いした方、そういえば自分の事業を起ち上げてフリーランスのナースになる予定といっていました。コミュニティのチャットを通じて連絡してみたところ…

なんと!都合よく時間もあいていて環境的にも働けて、その上通勤も可能、訪問看護の経験も少しある方でした。奇跡です。ちょうどご自分の会社を起ち上げる手続き中、これからフリーとして仕事を得ていくところ、私のSOSを受けて「とにかく明日話を聞きに行っていいですか?」と行動力も満点です。結果、期間限定ではあるけれど常勤として働いてもらえることになりました。

そして、「どうせ認知されていない事務所、休業しても今なら傷は浅い」と思っていたのに、このタイミングでまた数件のご依頼もいただくことに。反射的に「ありがとうございます、お受けします」とお返事してしまいました。いったん動き始めたら、やはりそこには責任が生まれてくるのです。そして何かしらの結果もついてくるのです。途中で手を放すわけにはいかないのです。

話を戻します。突然あいた穴をしっかり埋めてくれた救世主は、持ち前の行動力でどんどん仕事をサポートしてくれます。とにかく前向きで、私がぼんやりしている時間を奪い、尻を叩きながら伴走してくれています。困ったときに相談にも乗ってくれます。何よりも明るいので、日々楽しく明るく前向きな気持ちで仕事をすることができています。感謝でいっぱいです。

こうやって明るい時間を共有出来ていたら、バディも辞めなかったのかな…と思ったりもします。そういう環境を作れなかったのは、お互いに問題があったということです。救世主は期間限定なので、並行して求人活動も続けていて、ありがたいことに現在数名の応募をいただきました。この事務所は、まだまだこれから作り上げていく事務所、救世主との時間で得たことやこの感覚を大事にして、新しいスタッフと事務所を作っていきたいと、心から思います。

スタッフの退職とスタッフの獲得~前編:茫然自失の巻

さて、常勤スタッフが突然辞めて唖然茫然としていたことと、そのあと奇跡的に救世者が現れたお話です。なるべく感情を抑えて…抑えて…。

6月に入ってすぐ、バディだと思っていたスタッフが突然退職しました。昨年末の会社設立から指定申請の準備、物件探しや事務所の準備を手伝ってもらいました。ステーションの名前を決めるときも、事務所の物件も、机の色やカーテンに至るまで一緒に好みのものを選ぶほど。4月の開業からは、慣れない営業も頑張ってくれてました。確かにストレスもあったでしょう、でも、そのなれない営業の成果でようやく2名の利用者さんの依頼をいただきました。初の訪問に行ったその翌日に突然の退職です。

理由は…わからないのです。何も言わずにいなくなりました。ほぼ「夜逃げ」状態です。退職代行会社ってご存じでしょうか。本人も本人の荷物もすべてなくなっていたその日の朝、退職代行会社の方から電話がありそれですべて終了です。

確かに慣れない営業とか、利用者さんの依頼が来ないストレスがあった(…と思う)

お互いストレスフルになり、息苦しかった(…かもしれない)

遠くから通っていて、疲れたのかも(…自分で決めたよね?)

いよいよ訪問が始まり、オンコールとかもプレッシャーになったのかな(いまさら?)

私も余裕がなく、友達付き合いの延長で甘えがあり嫌な対応をしてしまった(…とも思う)

何しろ、退職代行会社の方の言い分では、今後本人及び家族関係者に一切連絡を取らないで下さいとのこと(まるで私は犯罪者?)。そのため彼女の気持ちも退職の理由も聞くことができません。もちろんそれまでの間に何か相談があったわけでもありません。だから憶測でしかない。私側からの見方しかできない。個人的には5年も友達付き合いをしてきたのに、何も本音を聞けませんでしたが、わからない以上考えても仕方のないこと。

まるで、5年付き合った彼女が押しかけ女房(古い?)になって一緒になったのに、数か月していきなり離婚届を置いて出ていったという感じ。

悲しいとか、怒りとかではなく、丸二日くらいは茫然自失の状態でしたが、利用者さんも決まり動き出したのに常勤がいなくなって、どうするか考えなければならず落ち込んでいる暇はありませんでした。事務所存続の危機、指定取り消しの危機、とにかくスタッフを探さなきゃいけないと奔走するわけです。

救世主が現れた話は後編に続きます。退職代行会社の存在も、その会社を使ってやめたスタッフのことも、個人的にはいろんな感情や考えがあります。でもそれは人それぞれ、やめる人にも事情があるのでしょう、その人なりに。もちろん私にも問題があったと思います。ちゃんと反省するところは反省して、前に進んでいきましょう。

ステーション開設5か月目の現実~営業(迷惑)電話編

4月1日の開業日にひっきりなしになっていた営業電話は、だいぶ少なくなっとはいえまだまだかかってきます。営業電話も様々で、中には必要だなと思うものもあって、一概に迷惑とは言えないのですが、その見極めが難しい。

私が「きっと迷惑電話だろう」と判断したものは3つあります。

その1・・・Googleパー〇ナーと名乗る会社。Googleプロフィールを作って載せていますが、ある日「Googleパー〇ナーです。貴社の載せているGoogleプロフィールについて、今後の営業に関わる重要なお伝えしないといけないことがあります。営業や広告に関わる大事なことなので、一軒ずつご説明に伺っています。明日・明後日でご都合の良いお時間を教えてください」

・・・え? Googleが? 一軒ずつ説明に回っている??  もちろんお断りしました。

その2・・・雑誌のインタビューという電話。新しく起業した社長にインタビューして雑誌に載せる、インタビュアーはそこそこ名前が知れているタレントさん。すごくもっともっぽい話だけれど、そのインタビューが今日とか明日とかいうところが胡散臭い。

・・・雑誌に載せるのにインタビューする相手(私)のこと何も知らないよね?その上なんの打ち合わせもせず、いったいどんな記事になるの?これも速攻お断り。電話番号の口コミを読むと、インタビューを口実に乗り込んできていろいろ営業をされるらしいです。

その3・・・「そちらの事業所に就職を希望されている方がいます。ご紹介したいのですが」という電話。なぜ勝手に仲介する?「そちらの会社とは何の契約もしていないので、紹介されても困ります」とお断り。こういう電話、最初は応募者本人のふりをして話始めるから質が悪い。ちゃんとした人材紹介会社の可能性も十分あります。紹介したい求職者がいるという話から(本当はいないのに)入ってくるのは、大手の転職サイトでもやる手口ですから(実はちゃんと引っかかった…汗)。

他にもありますが、性急に訪問をして来ようとするところは要注意にしています。まだ何の承諾もしていないのに、「明日か明後日、都合の良いお時間に伺います、いつにしますか?」的な。

迷惑電話じゃないかもしれないけれど、必要なことはいくらでも調べて自分たちで情報を取りに行ける時代です。個人的には、押し売り電話は全部断る気持ちでもいいんじゃないかなと思います。

ステーション開設して5ヶ月目の現実〜スタッフ編

訪問看護ステーションとして指定を受けるためのは人員基準をクリアしなければなりません。「安全に訪問看護サービスを提供する」ためですね。特に24時間対応体制のためには夜間緊急対応したスタッフの翌日の勤務を調整するなど配慮が必要です。

しかし、新規開業のステーションの人材確保は厳しいのです。ゼロからスタートする事務所で働きたいという希少な人材はどこにいるのか。個人で訪問看護を開設するには大きな壁です。職場の仲間と一緒に起業するとか、ご夫婦とそのお母様との看護師3人で起業するとか共に頑張ってくれる人がいるのは幸せですよね。

実は、私も前職場で知り合った年下の看護師が「一緒に立ち上げたい」と言ってくれて、準備段階から協力してくれていました。彼女は同じ職場の病院を数年前に退職し、別の病院で働いていたので、主にプライベートでおよそ5年のお付き合い。好きなことも共有でき、嫌いなことも似ていて歳は離れていても気が合うという感触。4月の開業から毎日一緒にいて、私の不出来なところも理解てくれている、と思っていました。

ところが、なんと突然彼女は退職してしまいました。退職の時の様子とか、その理由とかも聞いて欲しいところですが、それはまた今度の機会にします。今回はスタッフの確保の現実について。6月、ようやくご利用者様が決まり初回の訪問を終えたばかりで、常勤の看護師が突然退職しました。突然すぎてなんの準備もできていませんが、このままでは指定取り消し事務所休業、ゼロからスタートした新規のステーションはゼロに戻るどころかマイナス評価に。とにかくなんとかしなくては…と、前職場の人事担当の方に相談に行き、求人サイトを利用することにしました。お金がかかるけれど、背に腹は変えられないものです。

求人サイトって色々ですね、自分は利用したことがなかったので初めて知りました。サイトに求人を載せるだけのところ、求人を載せるにあたってのサポートをくれるところ、そのサポートも薄いところから手厚いところまで。サイト掲載無料でもサポートが入り、そこを経由して成約に至れば成約料として60万円支払うシステムだったり。そして転職エージェント、これは求人と求職者をマッチングしてくれて、合いそうな職場を紹介してくれて、面接のサポートまでしてくれて、成約すればその支払う予定年収の35%を成功報酬として支払うというもの。年収500万円を予定していたら、その35%って・・・。求人側と求職者側と、それぞれ連絡を取り意向を確認したり調整したりするのは大変なので、その成功報酬が高いのかどうかは言及しません。むしろサイトに載せているだけで成約料60万円というのも、安くはないですよね。

いま、求人の真っ最中なので、求人サイトのことはこのくらいにしておきます。ただ、求人側がこれだけの報酬を支払わないと働き手が見つからないといのが現実なんですね。弱小事務所には厳しい現実です。ならばどうするか・・・頑張って収入を上げて経済力を高めていくか、魅力的な職場に磨き上げていくか、その両方か。

ところで6月に突然常勤がいなくなったウチの事務所。知り合いの方が期間限定で常勤として働いてくれることになり、なんとかステーション運営をつなげております。なかなか都合よく仕事を離れていて、都合よくうちの訪問看護できそうなんて人はいないと思っていましたが、なんとそんな都合の良い人が現れました。奇跡のような出会いとタイミングで、この奇跡の出会いについてもまたの機会にお話ししますね。

ステーション開設して5ヶ月目の現実〜手続き編

2月、指定申請をするためにたくさんの書類を作成しました。申請するって、新規で立ち上げるって大変なのね〜…と思いつつも、指定を受けられたらあとはやるだけ!と思っていました。でも、指定を受けるまでの手続きは結局のところ土台なのです。保険での訪問看護ができる必要最低限の手続き。

そのほかに必要なのは、健康保険・介護保険以外の“公費”を使えるようにする手続きです。わかっているつもりでわかっていなかった保険や公費のコト。病院で働いていた時は、よくわからなかったら事務さんに振ってました。専門のことは専門家に任せておけました。ステーション立ち上げたら、保険や公費、報酬請求のことなど理解して自分で手続きをしなくてはいけません。

幸いといいますか、前回の利用者編のとおり利用者さんの依頼が少しずつだったので、一つずつ課題をクリアする時間がありました。生活保護の利用者さんの“介護券”、医療保険の場合は“医療券”を発行してもらわなければならないこと。難病の利用者さんの場合も医療費助成の医療機関としての申請が必要なことナドナド・・・。

それから今年は診療報酬・介護報酬の改定の年ですから、医療に関わる諸々の申請もしなければなりませんでした。指定申請時の届けで良いものもあれば、同じものでももう一度届けを出さなければならないものもありました。そもそもこの届けはなんだったかしら・・・?など新米管理者の頭は大混乱でした。

そして、介護保険の「伝送システム」医療保険の「オンライン資格確認・オンライン請求」の手続きもありました。今はなんとか手続きを終え、伝送システムとは、オンライン請求とはなんぞや?ということが理解できたので、ここにこうして書き込むことができます。しかし、最初は介護保険の請求や医療保険の請求そのものもよくわかっていなかったので(今でも保険機関とか支払い機関とかヨクワカッテイナイ…)手続きは難航しましたが、なんとか乗り越えることができました。

立ち上げの時から訪問看護の請求マニュアルとか訪問看護業務の手引きとか、あった方が良いですよと教えてもらったマニュアルは準備していました。でもその字面を眺めていてもピンと来なかったんです。やらなければならないことを目の前にして、ようやく意味が理解でき、お尻に火がついて慌てて手続きをする、その繰り返しです。一つずつ課題をクリアする時間があることにも感謝ですが、必要なマニュアルを教えてもらい準備できていたことにも感謝しかありません。いろんなことに恵まれているなあ〜としみじみ感じています。

結局はやってみるしかないです。行動しながら意味を理解したり必要な装備を整えたり。きっと初めから粗方理解していて、スムーズに進めていける方もいます。でも羨ましがっていても仕方ないし、繰り返しますが「やってみるしかない」。

おまけ〜好きな言葉

 「やるorめっちゃやる」 「やってもダメなら、もっとやれ」

ステーション開設して5ヶ月目の現実〜利用者獲得編

前々回の投稿「開業して5日間」から早や4ヶ月も間が空いてしまいました。途中道迷いのおじいちゃんの話を挟んだりして、肝心のステーション開業後のその後は謎の空白になってしまいました。正直言って、「水の中でもがいていて、沈みはしないけどそれほど進んでもいない。目指す岸はまだ遠く」みたいな状況ですね。

開業した頃は、営業を頑張って初月は利用者数人、でも半年で30人くらいになったらいいでしょう・・・と目論んでいました。しかし現実はそう甘くなかったのです。4月、5月、慣れない営業に回っても全然手応えなし、とある居宅支援事業所には「毎日毎日いろんな訪看ステーションさんが来てね〜たくさんステーションがあるからね〜」と言われ全く相手にされてない感に心が沈みました。

開業してからSNSでの発信もしてきました。Instagramでは、他のステーションさんの状況も覗かせてもらえます。同じ時期に開業して、どんどん盛り上がっていくステーションさんも少なくありません。羨ましがっている場合じゃないので、自分たちとどこが違うのか、自分たちに足りない物は何かを探ってみました。

まずは、開業までに近隣や関係各所へのアピールが足りなかったということ。指定を受ける前には営業をしてはいけないと言うのを額面通りうけとって、4月1日から営業まわり・・・では遅かったのです。全く新しい事業所を認知してもらうのには結構な時間と労力が要ります。関係各所への挨拶回りはもっと早くやっておいてよかったのだと反省。

そして訪問看護ステーションという看板だけでは、全然足りなかったということ。私たちの強みをアピールし、他との差別化を図らないと依頼なんて来ません。特にこの場所は長くこの場所で活躍されてきた実績のあるステーションだったり大手企業のステーションだったりが多い場所。個人が立ち上げた小さな事業所は名も無い雑草程度の存在だと実感。

これからステーション立ち上げを考えるなら、しっかり戦略をたてなければいけません(そういえば立ち上げのマニュアル本には明記されていたはず…)。競合の少ない場所に開業するのか、競合が多いなら他との差別化をどう図るのか、新しい事業所はどうやって認知されるのか、営業は量で勝負か質で勝負か・・・などの戦略です。戦略をたてる重要性は、準備段階で耳タコだったはずですが、甘く考えていた自分を叱責。

反省は多々ありますが、過ぎたことは今後に活かしましょう。そんな雑草ステーションでも依頼をいただくことができ、少しずつ訪問看護のお仕事をさせていただいております。

まずは、近所で地元密着の診療所を営む先生からの依頼をいただきました。なんとその先生は大学病院時代に一緒に働いた旧知のドクターだったのです。開業のご挨拶に伺い数十年ぶりにお会いしたところ、早速一件ご紹介いただきました。ありがとうございます。

ほかには、地域包括センターでの他職種連携の研修に参加した際の同じグループだったケアマネさんから、その場で紹介していただきました。やはり顔を合わせて話をするって大事ですね。他職種で顔を合わせて話をするチャンスは、これからも逃せません。

親しくしている訪看ナースさんの紹介で、デイサービス利用者さんの健康管理の業務委託のお仕事もいただきました。業務委託もありがたいですが、そのつながりでケアマネさんから新規の利用者さんの依頼もいただきました。人との繋がりって、本当に大事です。

また墨田区外の病院から退院する患者さんのご依頼もいただきました。その方のお住まいが、このステーションの近くなのです。きっと、他区の病院だから墨田区内の情報は少なくて、利用者さんの住所から検索したのでしょう。墨田区の外れにあるこのステーションの立地が功を奏しました。実際この近隣は高齢化率が墨田区内でも高いので、利用者さんは潜在していると思われます。

ようやく依頼をいただいて、訪問できるようになりました。0→1を達成することができました。でもここからが大事なところです。私たちに依頼してよかった、訪問に来てもらえてよかった、と思ってもらえるよう頑張らなければなりません。そして自分たちの強みをしっかりアピールしながら営業を続けていくこと。

まだまだ始まったばかり、0→1は大変だけれど、1を10倍100倍にしていくのはもっと大変なはず。水の中でもがいているだけではいつか疲れて沈んでしまうので、遠くに見える岸までちゃんと泳げるよう技術も体力も、息継ぎの仕方も習得していこうと思います。

認知症の初期?道迷いのおじいちゃん

道迷いのおじいちゃんに遭遇

先日ご近所を歩いていたら、すれ違うおじいちゃんに声をかけられました。

「ここはどこですか?家に帰ろうと思うんですが、通り過ぎちゃったのかな」と。

お話を聞いてみると、A駅の近くで買い物をして、B町にある自宅に帰るはずが道を間違えたのか知らない場所に来てしまったとのこと。私と遭遇したここC地点は、A駅からB町を超えておよそ2倍は歩いたであろう場所。たぶんお家を通り越して進んでしまい、道に迷ったのでしょう。「私のうちはね、B町3丁目の2なんです。サ⚪︎ダと言います」。

東京23区内なので、大抵の住所には何丁目何番地何号まで住所があります。

B町3丁目の2番ですね、その次は?・・・「サ⚪︎ダです」。・・・あれ?

B町3丁目の2、サ⚪︎ダ。それ以上の情報が出てこない。

身なりはきちんとしていて買い物袋も持っている。会話も比較的普通にできる。だがこれは、ただの道迷いではないらしい。それほど距離も遠くないし、タクシーが走っている場所でもない。幸いサ⚪︎ダさんは歩けている(若い頃はゴルフで鍛えたのだそうです)。B町3丁目2まで行けば、自宅の近くまで行けばわかるだろうと、一緒にB町3丁目の2を目指した。

結果は…そこにサ⚪︎ダさんの知っている景色はなく、「B町3丁目なんですよ、ここじゃないと思うんだけど・・・おかしいなあ」。住所の記憶は曖昧だったわけですね。サ⚪︎ダさんいわく、引っ越してきてまだ2年くらいなのでよく道に迷うのだとか。電話番号も引っ越してきたばかりでわからないのだとか。

結局辿り着けそうにないと思い、近くの交番に送り届けて事情をお話しし、あとはお巡りさんに託しました。

認知機能が低下してきた高齢者を守るには

認知機能の低下を早めにキャッチして、受診をしたり、生活環境を整えたりすることが大切です。でもはっきりと症状が出ないと受診のきっかけも難しい。だから、見守る目を増やすことって大事じゃないかなと思います。保護が必要な子供は、安心して自立するまではたくさん保護されていて、たくさんの目で見守られている。小さな子供が一人で出歩いていたらみんな気に留めますよね。でも、高齢者の場合はその逆で、だんだん保護が必要になってきます。助けが必要かどうか判断するのは難しいけれど、見守る目を増やすことはできると思います。高齢者なりの社会性やコミュニティを大事にしていくことはそのひとつ。知っている顔が多ければ挨拶もするし、気に留めてくれる人もいる。

道を歩いていても知らない人なら挨拶をすることもない都会の真ん中。ならば知っている人を一人でも増やしておく。あれ、様子がおかしいな?と、気づいていくれる人を増やしておく。ご近所の人もですが、高齢者が一人でいる時間を増やさないコミュニティ作り、そんなことが大事じゃないかな…と思いました。

「あれ?」と気付ける人になる

ご近所付き合いとか、コミュニティとか大事だと思います。でも24時間誰かが見ているわけにもいかないし、高齢者だって自由に外を歩きたいでしょう。

私の実家は東北のど田舎。村の人は皆顔見知りで、認知症のケがある梅バア(仮名)が家を出て歩いていると、気付いた近所の奥さんがまず「どこにいくの?」と声をかけます。梅バアは「はたけ」と答えると、近所の奥さんは畑の近くの奥さんに電話します。「梅バアがそっちにいくと思うから、見といて〜」。

サ⚪︎ダさんは普通に歩いていたので、私もそのまますれ違うところでした。ふと目が合った時、声をかけられたのです。声をかけてくれてよかった〜と思いました。田舎の奥さんのようにはいかなくても、あれ、大丈夫かな?と気に掛ける人が増えれば、それは一つの見守る目になりますよね。

若いころゴルフで鍛えたと言うサ⚪️ダさんの脚は、結構フラフラしていました。途中坂道は腕をとって介助しちゃいました。たぶん1時間は歩いていたでしょう。こうやって高齢者が転んで骨折するのか、とか、暑い日だったら熱中症で倒れただろうな、とか予測できます。声をかけてくれたから助けてあげられました(一応助けたつもり)。

過去にもおばあちゃんを保護したことがあります。真冬の夜9時くらい、パジャマに半纏を羽織って歩いているおばあちゃんが気になって、振り返ってみていたらキョロキョロしている。「どうしたんですか?」と声をかけたら「〇〇2丁目はどちらですか?」と。「ここが〇〇2丁目ですよ、どこまで行きたいんですか?」と聞くと「おうちです」と笑顔。もちろんすぐお巡りさん呼んで保護してもらいました。

高齢化社会、予防そして「準備」

高齢化社会、25年問題、健康寿命を伸ばそうといろいろな取り組みがされています。病気を予防し、寝たきりにならないよう運動を推奨したり、とても大事なことだと思います。

でも一方で、必ず歳をとり、歳を取れば体も脳も機能は低下していきます。健康でいるために、介護を必要としないために予防することはとても大事。それでも一生バリバリに元気でいられないのなら「準備」することも大事だと思います。認知機能が低下して生活に支障が出るかもしれない。それならコミュニティへの参加や近所付き合い、見守りサービスの検討や、地域包括への相談など、見守る目を増やしておくことはその準備の一つだと思います。道に迷い歩き続けることは、まだ徘徊とは言わないでしょう。でも徘徊するようになってからでは、ますます対応が難しくなります。

まだ大丈夫、という高齢者は多いでしょう。まだ大丈夫、でもいつかは必要、準備しておこうという心構えでいかがでしょうか。

訪問看護ステーション開業して5日間

5日間していたこと

当然のことながらまだ利用者さんはいません。ひたすら営業の日々。対応する地域の包括支援センター、居宅介護支援事業所、主要病院の医療連携室などなど。あとは同じ地域の訪問看護ステーションにもご挨拶に行きます。

私たちの地域は居宅介護支援事業所が100件以上・・・名刺とパンフレットを手にケアマネージャーさんへご挨拶。事業所やケアマネージャーさんは色々な方がいて、「はい、ご苦労様」とご挨拶を受けてくださる方がほとんどですが、ちゃんと受け止めてくださる方からはこんな反応をいただく事が多いです。「で、強みは?」「ウリはなんですか?」

関心を持ってくださるのは本当にありがたい、けれど強み、つよみ、ツヨミ・・・やる気だけじゃダメですよね。元気さも自転車こいでだいぶヘトヘトだし。なんとか笑顔で誤魔化すけれど、誤魔化されないですよね〜

とりあえず短い会話でも、少しでも覚えてもらう事が大事。認知して貰わないと始まらない。そして会話の中で、ケアマネさんたちの要望も汲み取れる。

「リハビリスタッフはいますか?」「どちらの医療機関とつながっていますか?」

あるケアマネさんからは「病院ではなく訪問診療とか在宅をやっているところとつながってないと…」とも言われました。でもそういった要望やご意見をしっかりキャッチしていく事、そして対応していく努力も大事だと思います。しっかりコミュニケーションをとっていかなくちゃ。

もう一つの課題、求人

新規のステーションの存在をアピールする目的はもう一つ。共に働くスタッフを集めること。前に投稿した通り、指定訪問看護事業所になるためには人員基準を満たしている必要があるので、立ち上げから一緒にやってくれているバディの他に、知り合いのナースさんがパートで手伝ってくれています。でも今後安定して、いや、発展していくためには常勤のスタッフを増やしたい。そしてケアマネさんたちの要望にあるようにリハビリスタッフも一緒にやってもらいたい。あとは強み、つまり専門性ですよね。とにかくスタッフは必要なので、求人活動大事。

いろんなアドバイスをもらって、まずGoogleプロフィールを作り、ホームページを作り、インスタ投稿をし・・・とにかくアピールを、と思うのですが、なんとも垢抜けない。これもなんとかしなくちゃ。

とにかくすごい営業電話

少し話はそれますが、その垢抜けないHPによってくる人たちがいます。初日は特に凄かった営業電話。「そちらの素敵なホームページ拝見しました〜」から始まり、訪問看護を必要としている人たちを紹介するだの、求人する効果的な方法を伝授するだのと言ってくださる。そもそも「素敵なホームページ」というところから嘘っぽいので信用しないのだが、きっと垢抜けないド素人のホームページ作ってるところだからカモりやすいと思っているに違いない。頑張って話をかわし電話を切る。やはりそこそこのクォリティは必要なのね。

脚のチカラとSNSのチカラ

現代の武器、SNS。フォロアー増やすって結構大変。知り合いや、元の職場の仲間はステーション立ち上げを応援してくれている。そんな仲間にインスタはじめたよ〜とLINEしまくるものの、インスタやってないのよ〜という人も少なくない。やってるけどあんまり見てくれない。年代の問題かな〜トホホ(←これも昭和)

なかなか面白い投稿も難しい、そもそも魅力的な職場と思ってもらうには何をアピールしたら良いものか。悩む日々だけど、こうやって綴っているブログも少しは読者がいるので、挫けずに続けていこうと思う。

そしてやはり昭和の人間だから、脚の力も信じている。脚で稼ぐのは刑事だけじゃない。

高い専門性はないけど、親しみやすさはある。話しやすさや頼みやすさもアピールポイント。そして顔を合わせてみないと印象付けられない。求人はSNSのチカラが大事だと思うけど、営業はやはり顔を合わせてナンボ。

ある居宅支援事業所の前で、同じように地図を片手に営業している方と鉢合わせました。その方は地域でも割と大きな訪問看護ステーションで活躍されたあと、今は他のステーションの建て直しや新規利用者獲得のためのアドバイザーをされているとのこと。その方も言ってました「とにかく営業よ!」と。そしてもちろんお互いも名刺交換をしあい、エールを送って別れました。大先輩にお会いできてとてもラッキー。

そして営業活動でもうひとつ発見がありました。それは今の事務所を仲介してくれた不動産屋さん。大手の不動産会社ではなく、地元の不動産屋さんで高齢者が多い地域だから入居者さんのことをなんだかんだと見守ったり世話したりしているそう。不動産屋さんに開業のご挨拶に行ったら、喜んでくださっただけでなく訪問看護に関心を持ってくださり、訪問看護が必要そうな高齢者がいるから声をかけてみようか?とも言ってくださり。

ああ、地域と繋がるってこういうことなのかな〜と実感。まだまだこれから、いっぱい地域と繋がるために脚を棒どころか丸太にして頑張ろう。丸太じゃ自転車こげないけど。